私は今年41歳になったのですが、リフォーム工事や改修工事で
よくお問い合わせいただく建物は、築20年から30年ほどのものが多く
築40年を超える建物は、年間に数件程度となります。
今回の案件は私とほぼ同級生の築40年の建物
同一敷地内に2棟の住居と1棟の納屋が建築されており
その中の1棟を息子世代に住んでもらうためにリフォームしたいと
お問い合わせいただきました。
日本の在来工法での住居は、コンディション次第で、建て替えなきゃいけない
ほど傷んでいる建物も多く、その為にはパッと見て判断するのではなく
構造内部をくまなく調査します。
昔の間取りは閉鎖的なものが多く、広い1部屋よりも区切られた2部屋といった
間取りの取り方が多い。
その間取りをリフォームによって広くする場合で、安易に柱や梁を改造するのは
非常に危険な行為です!
知識の乏しい会社やリフォームショップのようなところで工事を依頼すると
見るも無残な姿となった住居になっているのをよく目にしますが、非常に残念に思います。
そのような家に出会うと、「まだまだ家族と共に健全で在りつづけたい」と
悲鳴のような声をあげているように見えます。
取っていい柱とは、荷持ちが掛かっていない柱の事であり
構造上、その柱をとっても梁や小屋組みが「たわまない」ことが前提です。
割り箸の両端の下に台を敷き、上側から台と台の真ん中へ真下に力を加えると割り箸は曲がります。
しかしこのとき、力を加えられる真下に台があれば割り箸は平気です。
割り箸の下に敷いている台を柱と考える。
上から加わる力を屋根や2階部分の荷重として考えられれば
改造していい柱、触ってはいけない柱、補強をすれば改造しても大丈夫な柱が見えてきます。
伝統構法で建築された建物は特に慎重にこれを観察し、検討しなくてはなりません。
同じ建築物でも伝統構法の建物と在来工法の建物では全く違ってきます。
我々の持つ古民家鑑定士や伝統再築士の資格は、建築士の資格とは角度が違い
様々な技術や工法に特化した知識を有することができるのです。